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カテゴリ: 学士編入(筆記・面接)

<合格体験記>

【プロフィール】
 私が医学部編入を決めたのは大学4年生の秋でした。冬から KALS に通いはじめ、完成・実戦シリーズと物理・化学特講を受講しました。卒業研究や大学院での新生活が忙しく、7月からようやく受験勉強に専念できるようになったので、試験時期と科目の相性を考慮し、新潟大に出願しました。1校のみの受験となりプレッシャーはありましたが、新潟大に特化した対策を徹底的に行うことができ、運良く最終合格までたどり着くことができました。


【医学部編入を目指したきっかけ】
幼少時から外科医への憧れがありましたが、他分野にも興味を抱いていたことと学力面を考慮し、大学受験では医学部医学科を諦める形で希望の総合大学に進学しました。大学3年時からは健康総合科学を専攻して医療周辺領域を学び、癌細胞の生化学的研究に取り組んできました。その過程で「臨床に根ざした医学研究をやりたい」という気持ちが芽生え、また外科医への憧れの再燃、東日本大震災後のボランティア活動、そこでの医師との出会いなどもあいまって、学士編入へのゆるぎない決意が固まりました。


【筆記試験対策全般】 
はじめに KALS で過去問を集めて分析しました。理系科目は高校内容から固めました。大学内容は範囲に際限がなく、教科書通りに取り組むのでは要領が悪すぎるので、こまめに過去問をチェックして重要な分野を絞ってピンポイントで押さえました。単元内容を理解して知識を定着させるだけでなく、処理力や思考力、ケアレスミスを防ぐ対応力などを身につけることが非常に重要だと考えていたので、徹底的に問題演習を行いました。


【生命科学】
高校内容主体の出題がここ最近続いていたので、高校教科書傍用問題集(神保町の三省堂書店で購入)の演習を重視しました。完成シリーズの問題集も2周こなしましたが、実戦シリーズはざっと基礎知識をさらう程度に済ませました。

 
【物理】
例年、過去問と類似あるいは同一の小問が多数出題されるため、『体系物理』(教学社)で基礎固め(苦手な方には『物理のエッセンス』(河合出版)をお薦め)をした後は KALS で入手した過去問 10 年分を徹底的に押さえました。物理特講のテキストでいくつか答え合わせが出来ました。新潟大は単位を絡めた出題が多く、高校教科書の練習問題も意外に役立ちました。試験本番も例年通りの出題でした。 出題者が変わって問題傾向ががらりと変わる可能性も考えられたため、とにかく例年通りでほっとしました。


 


【化学】
高校の時まで一番の得意科目でしたが、大学内容の方はさっぱりだったので、① 高校内容で点を取りこぼさないこと、② 大学内容では最頻出分野で点を取れるようにすること の2つを目標としました。最初に『化学 I・II 重要問題集』(数研出版)の理論分野を解いて基礎を固め,無機・有機の知識を軽く確認しました。さらに『新・理系の化学問題 100 選』(駿台文庫)の理論分野 50 題程度を解いて大学受験の頃の実力と自信を取り戻しました。大学内容の学習には『ライフサイエンスの物理化学演習』(三共出版)を愛用しました。薬学生向けですが、具体的に数値計算させる問題が中心で、熱力学も基礎から学べるので、新潟大対策にはもっ てこいの演習書でした。また『わかる×わかった!量子化学』(オーム社)で量子化学の曖昧な点をすっきり解消できました。本番は対応できない問題が予想外に多かったですが、解ける問題から落ち着いて解き,対 応できないものは単位や与えられた数値から逆算したり、1点でも多く部分点を稼げるように思考過程をしっかり答案に残したりして、とにかく食らいつきました。





わかる×わかった!量子化学
齋藤 勝裕
オーム社
2009-10



【数学】
出題範囲が広く、知っているか否かの段階で差がつきやすいので、特に「広く浅く」を意識して対策しました。数学III/C の内容を深く勉強し、大学内容については、過去問と何度もにらめっこして、必要な部分を慎重かつ徹底的に絞りました。

【面接試験対策】

筆記試験の翌日から、①読書(基本的に医師が書いたもの)、②一人ブレインストーミング、③友人とのディスカッションに徹して、コミュニケーション能力を意識的に高めながらアイデアや背景知識などをルーズリーフに書きためていきました。

You Tube上に投稿された医療関係の番組や医師が登場する回の「プロジェクト X」「プロフェッショナル 仕事の流儀」なども視聴し、現場の映像や医師の言葉から直接学ぶ時間もとりました。大学の特色もインターネット上で深く調べました。

筆記試験の合格を知った翌日からは『医学部面接ノート』(代々木ライブラリー)の後半章をベースに、パソコン上で手厚い面接問答集の作成に取りかかりました。

KALSの過去問閲覧ファイルから得た面接情報も活用しました。

提出済みの志望動機作文も一文ずつ掘り下げ、想定される質問に対するディフェンスを練りました。

試験数日前からは数分間で答えるような重たい質問(適性、自己 PR など)や聞かれる可能性の高い質問に対する返答内容をさらに磨いていきました。面接官が十分に納得し、感銘を受けている姿が想像できるくらいまで磨きました。友人にも積極的に読んでもらい、フィードバックを沢山もらいました。口頭練習やイメージトレーニングも開始しました。

試験当日も午前中は滞在先で鏡を見ながら口頭練習を繰り返したり、友人に電話してウォーミングアップに協力してもらったりしました。

試験会場では自分の番が来るまでノートと問答集の復習を続けました。甘いお菓子を食べてリラックスしたり、頭のコンディションを整えたりもしていました。

本番は期待していた質問が次から次に登場し、練習通りに自信を持って答えることができました。
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※ 面接試験対策で作ったようなノートは、今でも継続して書き溜めています(シンポジウムで聞いたり、本や記事で読んだりした内容をまとめる)。アイデアや必要な情報を引き出すのにとても重宝しています。

今年の新潟大学学士編入試験も、一次合格発表が終わったようですね。
このブログを読んでくださっている中で、受験された方の朗報を期待しています。

試験がふるわず結果がうまくいかなかった方も、決して無駄ではないこれまでの努力の上に、また新しい努力を積み重ねて、次こそ医学部への道を実現してください!応援しています!

◼︎ 筆記試験で運を味方につける2つの鍵(?)
 大学ごとに的確な対策を立て、徹底した学習、自己満足でない学習を行うこと
 取れないといけない問題を本番で絶対に落とさないため、1)ケアレスミス対策、2)応用演習よりも基本の網羅  を重視すること



◼︎ 面接会場の様子(2011年)
・面接会場はメインの建物の2F。 (筆記試験は1Fの講義室) 
・小さい面接室が2室並び,その向かいが待機室。 
・各面接室で8人ずつが面接される。私はラスト8番目だった。  
・受験生は 16 人中 15 人が男性だった。30歳前後の方が多く見受けられた。 
・雰囲気的に理工学系の出身者が多そうだと感じた。 
・トイレは特に申し出の必要なく,自由に行かせてもらえた。 
・待機室では誰も一言も喋らず,終始重たい雰囲気が続いた。 
・何もしない人,何かしている人,半々くらいだった。私はひたすら,読書やブレインストーミングで書きためてきたノートと自作の面接問答集を復習していた。また,甘いお菓子を食べたり,水分をとったりしてリラックスしていた。 
・私は順番的に最後のはずだったが,他にまだ受験生が2人残っている状態で突然呼び出されてかなり焦った。 (自分が入る方の部屋の面接は予定よりかなり早い 1 人 12 分ペースで進んでいた。もう片方の部屋は予定通り 15 分ペースだった)  
・面接官は4人だった。一番右の方は研修生?で傍聴されているだけのようだった。残り3人の真ん中が代表面接官。一番左の先生は公衆衛生の専門とおっしゃっていた。( ※ 面接の時はちょっと厳しそうに見えましたが、入学後に授業を受けてみてすごく優しい先生だということが判明しました)
・私の部屋の代表面接官は少し年がいっていて優しそうな先生だった。質問に答えているときに私の目をずっと凝視されていて,眼光が鋭かった。そのため、こちらもうまく目を合わせて話すことができた。私の出身大学の学部や専攻に強い興味を示しておられた。(※こちらの代表面接官の先生は退官されてしまったようです)
・学会発表や研究プレゼンテーションの質疑に似た雰囲気だった。 


◼︎ 個人面接試験対策で大事だと考えたこと
 徹底的な準備とイメージトレーニング
 面接本番でのコミュニケーションに対する全集中力の集結


特に僕はコミュニケーション能力にも自信がありませんし、面接のときも、緊張して頭が真っ白になって悪い印象ばかりを与えてしまう可能性が高いことを自覚していたので、とにかく準備できることはしっかり準備して、自分の弱点を少しでも埋めていこうという思いで1ヶ月間取り組みました。


◼︎ 試験前に友人からもらった貴重なアドバイス
* 列挙は2つまで
* 内容はボリュームよりも一貫性(説得力)
* 相手が印象的に感じるエピソードをズバッと出す

木に例えれば、「溢れんばかりに枝葉を生い茂らせた木」ではなく、「最も美しい枝葉が2、3本残され、それらがバランスよく配置された見事な盆栽の松」を目指すイメージでした。

『説得力のある印象的な自分らしい回答を、簡潔にズバッと熱意を込めて伝える!』

新潟には魅力的な先生が多いです。僕が新潟への進学を決断したのも、面接時に抱いた先生方に対する魅力的な印象が決め手でした。


それでは、ご健闘をお祈りします。

2年前に受けた面接試験の振り返りです。

*帰りの移動中、記憶が残っているうちに一気に書き出したのでいっぱい再現できました。
*質問内容は、受験生ごと、面接官ごとに異なると思います。
*面接担当の先生方がこのブログをご覧になられた場合、面接形式が変わってしまうかもしれません。そのときは、ごめんなさい。
*KALSに提出したものと大体同じ内容ですが、そこには記載しなかった、細かい内容やプライベイトな内容も加えました。
*受けた質問内容には想定外のものも含まれていましたが、回答内容のほとんど全ては事前に準備していたものです。アイデアの収集→文章化→推敲→口頭練習で準備してきた甲斐があり、本番も練習通りに答えられました。


(代表面接官から) 

Q.0 はじめに確認のため,受験番号と名前を言って下さい。 

緊張で声が震えました。


Q.1 まず初めに,全受験生に共通の質問から入りますが,今年のテーマとして,東日本大震災でどのようなことを学んできましたか? 2, 3 分で答えて下さい。 

・KALS で過去の面接情報をチェックしていたので,最初に 2, 3 分で答える質問が来ることは想定していました。ただ、①新潟大の志望理由,②自己 PR,③医師としての適性,のどれかだろうと踏んでいたので完全に予想が外れました。 
・結局 「東日本大震災で学んだこと」というより「石巻市での健康調査のボランティア活動を通して学んだこと」 を中心に答えることになり,質問の意図を少し外してしまいました。ただ最後にちゃんと「学んだこと」を2点,はっきり簡潔に述べて締めくくられたので,それがかなり良かったと思います。 
     *チームを組ませていただいた開業医の方からコミュニケーションの取り方を学んだ 
     *石巻市の要介護者に対するサポートの早さが素晴らしく、その内容を学んだ 
 
・ 震災や原発に関しての質問自体は想定しており,普段から読書やテレビで学び,考えていました。 



Q.2 大学受験で医学部へ入ることは考えていなかったのですか? 

「高校時代に仲のよかった友人に東京志向の人が多かった。東京に出たい、という同じ野心と目標をもって切磋琢磨し、充実した時間を過ごしたかった。一方で医学部志望の同級生は、親が医者だから、収入がいいから、偏差値が高いから、人の役に立つから、というように明確な動機を持たずなんとなく勉強に取り組んでいる人が多く、一緒に医学部を目指していくことに魅力を感じなかった。ただ、医師を志す動機は医学部生活を経験する中で形成されるものだと思うし、当時の自分の考えはあさはかだったなと反省している。」



Q.3 ボランティアで石巻に行ったことが医師を目指した決定要因?

「いえ、その前から既に学士編入を決意していました。」



Q.4 どういう医師になりたいか,将来のビジョンのようなものについては何か考えていますか?  

・ 「①外科としてオールマイティな診療能力を身につける, ②専門医の資格をしっかりとる(希望は消化器外科) , ③医学博士も早い段階でとる, 以上3点を達成するまでが一定の段階と考えている。それまではある程度自分自身の QOL も犠牲にしながら,地域医療を支えていきたい。40 代前半あたりまでが目処。そのあとは、①研究,②後輩への指導(医学教育にも興味がある)に専念したい。退職する時に『医学の分野で何かしら貢献することが出来たかな』と思えればいいと考えている。 」 

・ここで代表面接者からの質問は終わりのようで,皆が一旦評価を記していました。 代表面接官がにこっと笑顔を見せてくださいました。 

・ それまでずっと緊張で声が少し震えていましたが, ここに来てようやく落ち着くことができ,他の面接官から出される後続の質問にも冷静に対処できました。 



(左の面接官から) 

Q.5 将来の研究テーマについては今の時点でもう何か考えている?それともまだ具体的には考えてない? 

「がんの転移,または再生医学(組織の形成,3次元臓器の構築…まで将来いけるかは分からないが) 」 
 
・移植手術や低侵襲手術を発展させる研究も答える予定だったが,シンプルに行った方が雰囲気的にベターと判断し,提示しませんでした。友人のアドバイスに従いました。 
 
・がんの"転移"と具体的に答え,その希望理由(日本人の3人に1人の方がなくなる深刻な病気であるがんの中でも、死に関わるほとんどの原因は転移。がんの転移を克服したい!)を説明していたとき,面接官の熱いまなざしを感じました。 



Q.6 国際保健学専攻 (現在の私の専攻) で具体的に何かすでに取り組んできたことはある?  

「感染症の基礎研究の方に主に取り組んできたので、海外で活動をしたりといったことはしてこなかった。」



(右の面接官から) 

Q.7 なぜ修士の途中 (修士1年) で編入しようと?今の研究をやめることへの未練とかは? 

・十分に質問が予想される重要ポイントだったので,準備していました。 

「最後までやりきりたいという思いも強いが, 医師になるのであれば, 未熟な修士2年生として行う研究生活は将来の医学博士過程に集約できる。またそれによって早められた1年分を,将来医師として患者さんを救う1年間,あるいは MD-PHD として研究する1年間に費やす方が,絶対によりよい研究成果あるいは社会貢献に繋がると考えた。 」 


Q.8 具体的に外科のどういう姿に憧れてきたの? 

・ 「患者さんは場合によっては命をかけて外科医の所へやってきて, 命を預ける覚悟で手術に臨んでくる。それに立ちあえるだけの自信や技術を身につけるために相当な努力を重ねる外科医に魅力を感じた。 」→質問者のリアクションがイマイチだったので、以下を付け加えた。

・「テレビ番組で,外科医が手術前にガーゼを縫ってひたすら練習している姿をみた。 人の命をしょって立つ外科医の陰での努力の積み上げに感銘した。 それが憧れの原点。 」→面接官4人の鋭い視線を感じました。  「実体験やエピソードをうまく絡めるといい」 という親友からのアドバイスを実行できました。 



Q.9 外科医としての適性,自分でここは外科に向いているのではないかという部分みたいなのは何かある?手先が器用だとか?  

・ 「処理スピードの速さ。常に次の一手を考えて行動している。効率化を図り,無駄を省くのも得意。そういう部分が生かせるのではないかと思う。 」 →アピールが弱かったです。 「大学時代に軟式野球部に所属していた。 脳と手の連動性が鍛えられている方だと思う。 」 「魚釣りや鉄道模型が趣味で細かい作業には慣れている方。 」 という意見も出せたのに…。 


(代表面接官から) 

Q.10 あとは,個人的に興味があって蛇足になるんだけど,あなたの出身大学の専攻を出るとみんな大体どういう進路に行くの?就職はどういう所が多い? 

「看護師か、あとは化粧品業界が多いです。女性が多いので。」

・本当は大学院に行く人も半分ぐらいいて、就職する企業(or 省庁)の分野もいろいろなんですが、正確に答えられなかったです。ちなみに、化粧品業界に進んだ同級生はわずかに一人(笑)
嘘ついて本当にごめんなさい。先生方を激しくうんうん頷かせてしまったあの数秒間を思い返すたび、苦笑いです。

 

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