第6週、Hematology 最終週。

DVT/PE のプレゼン
UpToDate や Chest Guidlines のサマリーなどを勉強して準備しましたが、今週はコンサルトで忙しく、結局発表機会はありませんでした。それでも、「Power Point を使わずに DVT/PE について英語で10分間、口頭で発表する」なんて日本では絶対にやらないトレーニングですし、今まで身につけてきたものを総動員して取り組む新しい課題なので、準備そのものにやりがいがありました。疑問点の相談などは、DVT/PE の症例を担当する中である程度できましたし、残り物に関しては、また来週、先生に会えた時に相談したいと思います。


口頭プレゼンとカルテ記載
今週は毎日のように新しいコンサルトがフェローの担当上限(3件)まで入り、夜までせわしなく同行する日々でした。(フェローは Oncology の業務も同様に行うため、1日最大6件)

今週は1日(1〜)2症例を担当させてもらい、以下の流れで実習に取り組みました。
1) 膨大な量のカルテから短時間で情報を収集・把握し、頭の中で整理
  → USMLE で大量の症例文を短時間で読みこなす力が求められることにも納得
2) History taking、Physical exams
  → 基本的にフェローが行うが、自分でやることも
3) 1), 2) の情報を整理して口頭プレゼンテーション
  → メモを見ながらアテンディングに
4) フェロー・アテンディングにプレゼン内容の訂正と補足をしてもらう
  → 勉強どころ!
5) ディスカッション後、必要に応じて検査室で塗抹標本(Smear)の確認&解説
  → USMLE Step 1 の勉強がとことん生きる
6) フェロー・アテンディングと回診後、カルテの下書き
  → Reason for Consult, HPI(現病歴), ROS(Review of System), PMH(既往歴), PSH(手術歴),  Allergy,  Medication,  SH(社会歴),  FH(家族歴),  Vitals & Physical Exam,  Lab Data を入力する。自動入力機能が使えるので、実際に頭を使って内容を練るのは主に HPI
7) フェローが修正・加筆(Assessment, Recommendations)した完成版を後で確認
  → 勉強どころ!

まだひどい内容のプレゼン&カルテ入力しかできないことに嫌気がさしながらも、「前回よりも良いプレゼン&カルテ入力ができるようにしよう!!」と毎回がむしゃらに取り組んでいるうちに、徐々に内容が様になってきて、やりがいや楽しさも感じられるようになった1週間でした。


やっぱり英語コミュニケーション
アメリカの病棟に来ると、英語コミュニケーションに深刻な問題を抱えるスタッフが一人だけいて、それが自分だということを自覚して嫌になる毎日。出来て当たり前のことが出来ないのが本当にもどかしい日々。今の自分の英語力で一目置かれてしまう日本はどうかしている、と思いたくなってしまいます。
今月からは、隣の日本人ハウスメイトと英語で会話する時間を増やしていますが、英語コミュニケーションの壁を克服するには、日本に帰ってからも英語でたくさんコミュニケーションを取るしかないので、そういう生活習慣・環境を作るための策を今のうちから練らなければと思います。日本に帰ってからも英語で気軽にLINEやSkypeで話せるような友人との出会いは本当に貴重です!!


フェローのプレゼンテーション
実習最終日の早朝に、お世話になったフェローのプレゼンテーションを聞きにいきました。各フェローが1年に数回行うことになっている、約1時間のアカデミックプレゼンテーション。テーマは、僕が今の科に来て最初に勉強させてもらった症例に関連するものでした。かなり複合的な症例で、最適な治療法を簡単に決められないケースでしたが、その難題に対してフェローは、臨床研究の結果を20個以上引用し、その患者さんにとって最適な治療計画を論理的に導き出していました。発表の構成、内容、創造性、同期フェロー同士の建設的なディスカッション...どれを取っても「これこそが自分が今後目指していく目標そのものなんだ」と思えて、鳥肌が立ちました。

現在の実習先のフェローシップは Hematology/Oncology/Transplant 分野で米国有数の Competitive なプログラムですし、そこに選ばれた先生方は血液腫瘍分野で世界トップレベルのフェロー。そのフェローからマンツーマン指導を受けながら、知性や温かい人柄にも触れられた時間は、本当に一生の宝物になりました。自分が今後どれだけ頑張っても、今のフェローに追いつけるものは何一つない気がして、絶望的な面持ちにもなりますが、貴重な経験をさせてもらって、こんなにも励ましてもらっている自分は、とことん頑張っていかなければいけない立場なんだということを改めて自覚しました。


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1週間のオフを挟み、クラークシップも残り2週間となりました。
最後は希望通り、緩和ケア科を回ります。
・がん患者さんとたくさんコミュニケーションを取りたい
・アメリカの緩和ケア領域のチーム医療を学びたい
という思いがあってこの科を選択しました。

H&P、口頭プレゼンテーション、カルテ記載をまた沢山トレーニングさせてもらえると思うので、残り2週間も有意義に過ごしていきたいです。

オフの間は Step 2 CK の勉強、Step 2 CS の練習、国内マッチング登録&出願内容確認などにあてる予定ですが、小児科インターンの先生と休暇期間が一部重なり、一緒に Mayo Clinic や数日間の小旅行に出かける計画も立てています。楽しみです。