都内病院のケーススタディセミナーに参加させていただきました。
1年半前に1度だけ野口のメーリスで招待されて知ったセミナー。2回目以降は第一三共さんが案内を送ってくださったので、参加を続けられました。

内容はこれまで同様、米国の指導医が座長をされてのケーススタディと、アレルギー・膠原病科の先生おふた方の講演。


① 発熱、心窩部痛で受診したリウマチ性多発筋痛症の高齢女性
演者・座長と研修医のインタラクティブなやりとりがあり、論理的に進められます。毎回学ぶことが絶えません。
座長は頻繁に英語で質問を投げかけてきます。何人かの研修医の先生方は、鑑別診断や自分の意見を理由も含めて英語ですらすら答えられます。「IE(感染性心内膜炎)を考えて血培をとります」のようなキレキレの発言内容しかり、Active Learner としての姿勢しかり、2、3年後の自分の目標像そのものです。
今回の症例は大動脈に石灰化をみとめ、血液培養からは らせん菌の Helicobacter cinedi が同定されました。めずらしい細菌の感染によって引き起こされる大動脈瘤でした。
粥腫が形成される分子機序のほか、多発筋痛症患者への側頭動脈炎(巨細胞性動脈炎 GCA:僕が今回予想した疾患)の合併に関しても3つの文献から興味深い情報が引用されていて、最後まで楽しめる症例発表でした。
最後は、NEJM から引用したという "The spiral mystery of Asynergy" というサブタイトルに韻を踏ませての締めくくり:"The spiral mystery of  a cinedi" 。座布団が必要でした(笑)


② 発熱を伴う皮疹の症例
てっきり膠原病のレクチャーだと思っていて、ピットフォールにはまりました。アナフィラキシーの初期診療がテーマでした。CareNetの教材に基づいて、症例ベースで進められました。研修医の先生がアドレナリン自己注射用器材(エピペン)をぬいぐるみに対して使用する実演デモもありました。『レジデントのためのアレルギー疾患診療マニュアル 第2版』(医学書院)を読んでこればよかったです…!(2年前に大学の調べ学習で出会って一目惚れし、昨年セミナー前に新幹線の中で読んで二目惚れしたテキストの改訂版)



毎回こちらの著者のレクチャーを拝聴してきました。膠原病はさることながら、アレルギーももっと沢山勉強したい気にさせる、マジシャンのような先生です。そのマジックを裏打ちするのは、先生が学生時代から継続されてきたひたむきな積み重ねだと思います。それも、並大抵でない積み重ね。「ハリソンを学生時代に英語で全て読む」「NEJMも4年生の時からコツコツ読み続ける」「専門書も学生のうちに読んだ」「常に患者さんや後輩の先生方の目線で考える」…。
先生は週刊医学会新聞の記事の中で「得意なことの中で、好きなこと、そして誰かの役に立つこと。そのように進路を考えれば迷うことはない」と主張されています。
自分も然るべき道に向かって、然るべきものをひたむきに積み重ね、自分らしいマジックを発揮していきたいです。


③ プライマリケアでできる骨関節X線読影(後篇)
初参加時と同じ内容のレクチャーでした。相当量のノートを取っていた当時の気合の入りように驚きながら、新たに学んだことを赤で書き足していきました。
今回の収穫はなんといっても、脊椎のX線所見を見るのが楽しくなったこと。Alignment、Bone、Cartilage の順に見るべきところを見ていくと、椎間板炎、強直性脊椎炎、前縦靱帯硬化症、椎間変性症、脊柱すべり症、椎体圧迫骨折の判断の仕方が理解できるようになっていきました。
スライド内容の多くは(トップ)ジャーナルから引用され、質の高いエビデンスが集結していました。EBMの作法もどんどん見習っていきたいです。
先生は、僕が臨床留学を目指すきっかけを得た本の著者で、米国式のプレゼンテーションや、臨床現場でのコミュニケーションに関する参考書も書いてくださっています。今ちょうどそれらを読み進めているところです。とても充実しています。一歩一歩、目標に近づいていきたいです。








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プラリア、ネキシウム(いずれも第一三共さんの製品)の話題が、毎回のようにレクチャーの余談に登場し、和やかな雰囲気に包まれます。夜遅くまで献身的にセミナーをサポートしてくださるMRさんに対する感謝の気持ちが込められていて、いつも嬉しくなります。
プラリア:抗RANKL抗体製剤、デノスマブ。ステロイド治療で問題となる骨粗鬆症の治療薬
ネキシウム:PPI。NSAIDs治療で問題となる消化性潰瘍の治療薬



<反省>
今回は発言する機会(というより勇気)が全くなく、不完全燃焼でした。
1年半前から成長のない自分に失望しました。
次回(5月は参加できない可能性が高いですが…)は確実に当てられる位置に着席して、根拠も含めて意見を述べたいです。質疑タイムに必ず質問もしたいです。

<課題>
Active Learner に変身すること!