以前、『第一回・第二回 医師養成大学院(メディカルスクール)を考える』シンポジウムで、ミシガン大学家庭医学教授の佐野潔先生からお話を聞かせていただいた機会がありました。

今日はその佐野先生が指導して下さる少人数セミナーに参加しました。
朝のアイスブレイクから夜の懇親会まで、非常に充実した素晴らしいセミナーでした。

午後の「整形外科の基本診療(足首、膝、肩)」「婦人科の基本診療」では、家庭医診療の本質、プライマリケアの原点が少し垣間見えた気がしました。従来の「総合(診療)医」との本質的な違いを示していると思います。


<家庭医全般>

・家庭医=全科医 は、小さなお子さんからお爺ちゃんお婆ちゃんまで診られる。お産も診られる。予防摂取や健康診断もできる。整形のギブスもはめられる。鬱病のカウンセリングもできる。認知行動療法もできる。 
 

・何でも診られる先生が3人いた方が、循環器の先生1人・消化器の先生1人・泌尿器の先生1人の3人がいるよりも役に立つ。耳鼻科、呼吸器科、皮膚科、眼科を加えて7人の臓器専門の先生を集めても、1人の患者さんすらも診られない。


・家庭医は単に全科を診られる「何でも屋」ではなく、患者さんや患者さんの暮らす家庭全体の心理的・社会的背景を捉えて、一人ひとりの患者さんにベストの医療をカスタマイズしていくことが求められる。例えば、
韓国人の患者さんに「塩分を摂りすぎだからキムチを食べるのは控えて下さいね」といってもナンセンス。不安発作の症状をもつ40代の女性の方なら、薬を処方する前に「親の介護で過度の精神的負担を抱えていたりしないか?」とか「最近乳房にしこりが見つかったことで悩んでいるのではないか?」といったことも察して聞いてあげないといけない。ストレス性の胃痛の症状を持つ40代の男性の方なら、奥さんの更年期障害を治療することで、ストレスが軽減し胃痛が良くなるかもしれない。

 

<良かったこと>
・午前中のグループワークでは、一緒に組ませていただいた6年生や初期研修医の方々に何から何まで丁寧に教えていただきました。

・エクスターンプログラムで既に米国に短期研修に行かれた方も数名参加されていて、とてもよい繋がりを持たせていただく機会になりました。General medicine にとにかく情熱的な方や、臨床留学を目指す同志にも出逢えました!

・昨年末の交流セミナーでお話する機会が得られなかった外科の先生も懇親会にいらして下さり、お話する機会がもらえました。

・エクスターンプログラムの具体的なお話(必要書類(PS、推薦書など)や費用など)も伺いました。英語コミュニケーションスキルをしっかり身につければ、米国での短期学生臨床研修への参加がいよいよ実現しそうだ、という希望が持てるようになってきました。


今日のセミナーはとにかく楽しかったです。

指導して下さった佐野先生は、患者さんとのコミュニケーションの取り方、人付き合い、医療に対する姿勢、医学生・後輩医師に対する熱意、ユーモア、全てが自分にとっての目標そのもの。そういう先生に巡り会うことができて、本当に嬉しく思います。