A Little Bit Awesome

以前に無事に合格した USMLE Step 2 CK の受験を振り返ります。

良いスコアではなかったので、高得点を目指される方にはあまり参考にならず、恐縮です。

<スコア>
Step 1        226 (Mean 230, SD 20, Border 192) 
Step 2 CK     235 (Mean 244, SD 17, Border 209)

<持ち物>
① Scheduling permit
② パスポート
* プロメトリックの確認画面や直前にもらう案内メールのプリントアウトも持って行きましたが、提示する機会はありませんでした。

<受験に際して>
・試験は朝9時〜18時ごろまで。Step 1 よりも長期戦でしたが、いざ受けてみると、逆にStep1 の時よりも楽に感じられました。やはり一度経験して慣れているのが大きかったと思います。

・耳栓の持ち込みはOKでした。受験ブースに置いてある黄色いヘッドフォン型遮音機も使えます。

・ティッシュは持ち込めませんでした。スタッフに申し出て2枚ごとにもらうシステムでした。

・入室のたびに毎回画面上で11桁?のコードを入力する必要がありますが、その時間はトータルの試験時間にカウントされていなかったような気がしました。

・休憩の際、トイレまでの行き帰りで飲食すると効率的だと思いました。僕は当時ヤングドーナツ(4個入り)にハマっていたため、当日も、トイレの行き帰りで毎回ドーナツを2個ずつ頬張っていました。

・ブロック間の各休憩に長短をつけてもいいと思いますが、がっつり昼食の時間をとると次のブロックで眠くなるかもしれないため、僕は複数の休憩時間で食事を均一に摂っていました。おはし、スプーンを使わなくていいもの(eg. 巻き寿司やサンドイッチ)を主体に、甘いものとしょっぱいものもバランスよく準備していました。


<対策に際して>
・UWORLDに関しては、Qbankだけでなく模試も対策に必須でした。試験直前に復習した模試の内容が本番でいくつか問われました。僕の模試のスコアは240と222でした。

・本番の問題は質感的にほぼUWORLDと同等でした。強いて違いを挙げるとすれば、全文を読まなくても解ける問題がUWORLDより若干多い印象でした。例えば、長い症例文の後に「○○と診断された。この疾患によりリスクが上がるのは?」のようなタイプです。やはり(最初と)最後の1(〜数)文や選択肢にまず目を通すのが得策です。

・病態の機序をとう問題も時々出てくるので、Step 1の知識もある程度残っていたほうがいいですが、CKの対策時にもFirst Aid Step 1を見返す機会が多々あり、対応に苦戦することは少なかったです。

・公式サンプル問題も解いた方がいいです(解説はないですが)。そっくりの問題が出るかもしれません。


<個人的な振り返り>
僕は本番の1週間前までにすでにUWORLDを2周解き終えていましたが、直前の1週間でさらにQbankを全問解き直しました。ほとんど正解できる問題集を解き直しても新しい知識は増えないですが、自分自身の課題は「いま持っている知識で解ける問題をいかに取りこぼしなく取れるか」だと感じていたので、あえて解き直しに徹しました。

本番前の一週間は、模試も含め、毎日朝から晩まで400-600問解いていました。発狂しそうになりましたが(笑)、問題を解くスピードや形式感覚が体に染み付いた状態で本番を迎えられたので、当日もスムーズに解き進められました。

USMLE Step 1 や 2 CK では知識を増やすのも大事ですが、それを点数に反映させられないと意味がないので、教科書の通読よりも問題演習の方がやはり重要だと思います。
例えば、
    ・ 30代で黄疸+DMがあったら→→→瞬時にヘモクロマトーシスを想定する
    ・近位筋優位の筋力低下があったら→→→甲状腺マーカーをしっかり確認する
といったような思考回路を身につけるには、やはりテキストの通読だけではなかなか難しく、演習を通じて鍛えるプロセスが少なくとも自分には欠かせませんでした。


使用した問題集などについて、また機会があれば書きたいと思います。

<出会い=最高の財産>
3科での実習を通じて最も印象に残ったのは、出会った先生方や医療スタッフの魅力的な人となり。そしてそれがいかにプロフェッショナリズム、チーム医療、ひいては患者さんへのケアにプラスに反映されるかということ。


類は友を呼ぶと思います。自分も、心から尊敬できる先生方、医療スタッフの方々の輪に呼んでもらって、一緒に仕事をさせてもらえるよう、もっと自分を磨いていきたいと思いましたし、そうした目標となる方々と実際に一緒に過ごし、大切なことをたくさん教えていただき、今後もつながりを持てるような出会いが生まれたことは、自分にとって一生の財産となりました。


レジデンシーへのマッチという点で、IMG(米国外の医学部卒業生)に対する風当たりは増すばかりですが、それでもチャンスが掴めるよう、克服課題とその解決策を考えました。


<臨床スキル>
国内での初期研修を頑張ることが何よりも大事だという考えに行き着きました。ここで、とにかく力をつけられる臨床トレーニングを行って、その結果として米国に留学しても通用する臨床力を身に付けたいです。その中で、英語圏の患者さんを診る機会、英語でのプレゼンテーションやカルテ記載のチャンスがあれば、貪欲に求める。これらを果たした上で、Step 2 CS にしっかり合格して、最低限の臨床スキルを身につけることができたならば、米国に行ってもレジデントとしてちゃんとやっていけるに違いない、という希望が、今回の実習を通じて湧いてきました。IMG であり、かつ Step 1 が 小児科プログラムで平均的な 226 というスコアで、足切りされないところがあるのか、また、Step 2 CK でハイスコアをとることでどこまで巻き返せるのか、全くわかりませんが、Step 2 CK 対策にはとにかく人生をかけて挑みたいと思います。



<英語コミュニケーション>
医学英語で困ることがないよう準備を行って留学した結果、2か月間想像を絶するほど苦労したのはやはり英語コミュニケーション。特にディスカッションへの積極的参加。(もしも Step 1 の勉強などを一切せずに留学して医学英語に困ったということであれば、それは留学前の準備不足・怠慢であって、ディスカッションが分かる/分からない、積極的に参加できる/できない以前の問題になっていたと思いますが。)
ディスカッションに積極参加できなくて苦しんでいた時、たくさんの IMG の先生方から「現地でひとたび研修を開始してしまえば、英語能力はどんどん上達するから、そんなに心配しなくて大丈夫だよ。CS にしっかり合格できれば大丈夫だよ」と励ましてもらいはしましたが、それでも自分に最低限の英語力が足りていないことは明確でした。国試や Step 2 CK の勉強で忙しくなっても、これまで以上に意識高く時間を割いて、英語力向上に努めないといけないです。妥協せずに、でも焦らず、地道に。とにかくリスニングとコミュニケーション。



<推薦状>
今回の実習では、英語力の不足が最大のネックとなり、上の先生に推薦状をお願いできるようなパフォーマンスや積極性が発揮できず、終始悩み続けた2か月間となりました。積極性を出そうにも出しきれない自分、目標設定ができずモチベーションを高めきれない自分に対する苛立ちや絶望感に明け暮れる日々でした。しかし、推薦状に関しても、今は全く焦る必要はないと思えるようになりました。今回のクリクラでお世話になった先生方の下で、またいつか見学をさせていただいて、推薦状をお願いできるチャンスは100%あるので、すべては今後の自分の頑張り次第。出会いに恵まれ、つながりが持てただけでも、本当にありがたいことでした。


<今後の展望>
おそらく初期研修修了後、あるいはその先数年の国内での後期研修後、米国でリサーチアシスタントとしてのキャリアパスを経て、そこで英語への慣れ、エクスターンシップ、推薦状の準備、(研究業績の投稿、CS への合格)などに努めることになると思いますが、少しでも早く、チャンスが狭まらないうちに米国レジデンシーにマッチできるよう取り組んでいきたいです。

米国でクリニカルクラークシップを行う中で、自分に足りないもの、やるべきことをあまりにも多く自覚したため、将来設計像がいったん白紙状態に戻りましたが、再度、長期的な展望を描きなおし、短・中期目標も立てなおしつつあるので、目の前の目標に集中して、1日1日大切に過ごしていきたいと思います。 

随分と日数が経ってしまいましたが、最後の2週間で回った緩和ケア科の実習を振り返ります。

実習先は大学病院ではなく、近くにある大きな大きな地域病院。端から端まで歩くのに10分以上。1週目はディレクターに、2週目はドイツ人のアテンディングに付いてマンツーマン指導を受けました。ディレクターは、もともと大学病院でALSを専門にしてこられた内科教授(呼吸器内科)で、Best teacher of the year に何度も選ばれた先生。周囲のすべての医療スタッフ、及びすべての担当患者さんから、例外なく愛されている先生でした。ディレクターもドイツ人の先生も、コミュニケーションの取り方や周囲のスタッフに対する気遣いをはじめ、見習いたいスキルに満ち溢れていて、2週間しか実習できないのが惜しい気持ちになりました。

緩和ケアチームはがんに限らず、重い病気に罹ったあらゆる患者さんの “Suffering” と “Needs”を理解し、身体的・心理社会的、及びスピリチュアルな観点において、患者さんがより “Comfortable” に過ごせるように尽力する医療チーム。その中で、身体的側面(主に疼痛管理)に対しては緩和ケア医、社会的側面ではソーシャルワーカー、心理的・スピリチュアルな側面ではチャプレンが、それぞれ主導的に専門性を発揮されていました。

2週間でチームが担当したのは、がん患者さんが15名、がんでない患者さんが19名。後者の方が多いのは意外でした(ESLD (End-stage liver disease), CKD, Stroke, Trauma など)。また、ALS の専門外来でも、全患者さんに緩和ケア医(バックグラウンドは呼吸器内科 or 神経内科)がタッチしていました。

今回のクリクラで緩和ケア科を選択したのは、① コミュニケーションスキル、② 米国のチーム医療、を学びたかったため。自分自身の英語能力が不十分なことと、指導医のコミュニケーションの取り方から学ぶべき内容があまりにも多いこともあって、「自ら練習して学ぶ」実習ではなく、「見て学んだことをフィードバックしてディスカッションする」実習スタイルとなりましたが、自分が学びたいことをストレートに学ぶことができた、有意義な2週間でした。同時に、最も多く英語コミュニケーションに暴露するローテーションとなりました。



患者さんとのコミュニケーション

OncoTalk という、(がん)患者さんとのコミュニケーションのポイントがまとめられた教育サイトを紹介していただきました。実際の臨床現場でも、ここに書かれてある原則が実践されていました。
その中でも、"Ask-Tell-Ask" というスキルには特に重きが置かれていました。

Ask:  患者さんがどのような情報を必要としているかをしっかり探る

・一方的に病状を説明するのではなく、まずは患者さん自身に自らの病状について認識していることを説明してもらう、というところから始めていた。

・現時点で患者さんが必要としていること(e.g. 痛みをなくしたい)や目標(e.g. 歩き回れるようにしたい)を伺う。症状の重い末期の患者さんであってもその話し合いを通じて希望が湧き、笑顔を取り戻せることが多々ある。

・患者さんの価値観を探り、それを徹底的に尊重する姿勢が貫かれていた 。たとえば「自分は心臓が強い。定期的にトレーニングしているから、歩けない今の状況もなんとかなる。(前立腺癌の)治療は望まない」と言い張る患者さんに対して、まずは「心臓は強い」という価値観をとことん尊重する。その上で、歩けないのが、痛みによるものか、筋力低下によるものか確認しつつ、「歩けるようになることが、いま最も希望されていることなのですね?」と伺って、患者さんの希望を明確にする。それにより、真に話し合うべき本題が導き出される。
「①心臓が強い患者さんの場合に、②"歩けるようにしたい" という希望を実現するために、③どのような治療が具体的に必要か?」
この本題であれば、患者さんも納得して話し合いに応じることができる。単に「前立腺癌なので治療しないといけません」と言って、治療法を一方的に説明しようとしても、良い話し合いには繋がらない。 


Tell:  シンプルなわかりやすい言葉で情報を惜しみなく伝える

・中学生でも十分に理解できる言葉・表現を心がける。外科レジデントが分かりやすい言葉で丁寧に、必要な情報を患者さんが納得いくまで根気強く説明していたことに対して、緩和ケアのディレクターが惜しみなく賞賛されていた。

・予後について情報を求められた時には、生命予後のことなのか、ベッドで痛みなく食事や会話ができる予後のことなのか、それともスピリチュルな予後なのかをしっかり明確にした上で答える。

・悪い知らせを伝えるときは、一呼吸を置いて、まっすぐな言葉で、自信に満ちたトーンで、最善のアイコンタクトを心がけて伝える。

Ask:  その上でさらに、患者さんの疑問や、必要とするものを真摯に尋ねる 

・"Any questions at this point ?", " Anything that I'm missing ?" という言葉が本当に効果的に使用されていた。

・退院後の意向とサポートについても必ず話し合っていた。(全人的サポート)


通訳者との連携に関しても多くのことを学びました。

<通訳者を交える際に大事なこと>
・通訳者ではなく患者さんの目を見て話す
・一度に一つの事項だけ話す
・テンポが大事
・通訳者は(その患者さんと色々なスタッフとの通訳を担っているから)誰よりも病歴をよく把握していることが多い。ベッドサイドに行く前に通訳者にしっかりお話を伺っておくことも大事

ディレクターが通訳者を介して患者さんと話し合った末に、以下のようなやり取りが見られたシーンが4日間で2度もあり、驚くばかりでした。

患者さん:
「とてもわかりやすい説明で、今後のことがとてもクリアになった。あなたのような great doctor に診てもらうことができて幸運です。」

ディレクター:「あなたのような素晴らしい紳士を診ることができて私も非常に光栄です。そして、うまく話し合いが進められたのはひとえに通訳さんのおかげです。いつも素晴らしい通訳者と仕事ができて光栄です。」
通訳さん:
「このような素晴らしいディレクターとともに働くことができて光栄に思います。いつもディレクターからは学ぶことばかりです。」


カンファレンス

毎朝のミーティングに加え、必要に応じてケアカンファレンスが開かれ、患者さんやご家族がそこに交わることもしばしばでした。テレフォンスピーカーを囲んで、遠方にいらっしゃるご家族やプライマリケア医と電話回線を利用してミーティングが行われるときもあれば、ICUの病室に全担当スタッフが椅子を持って集まり、患者さんを囲むような形で長時間の話し合いが行われたこともありました。カンファレンスに集まる専門スタッフは本当に多種多様で、緩和ケア医、神経内科医、集中治療医、外科レジデントなどのほか、Physician assistant(医師の指示のもとに、医師とほぼ同等の臨床業務を行う)、看護師、ケアコーディネーター(カンファレンスの運営等を行う看護師(看護師に限らない?))、Nurse practitioner(診療行為のできる看護師)、社会福祉士、チャプレン、呼吸療法士、言語聴覚士、理学療法士、倫理コンサルタント...など。ありとあらゆる分野のプロフェッショナルが集まって、真剣にディスカッションが行われました。また、カンファレンスの後に部屋に居残ってちゃっかり参加させてもらった LUCAS2(自動胸骨圧迫マシーン)のハンズオンセミナーの際には、"Educator" という、シュミレーターの配置、管理、メンテナンスを行う専門職員がセミナーの運営に当たっていました。


缶のコーラ

ICU の病室にスタッフ一同が椅子を持って集まりミーティングが行われることになった患者さんは、今回の実習で最もお世話になった方でした。そのミーティングは「重篤な合併症のリスクが高いために積極的治療を中止してホスピスケアに移行する」という決断についての話し合いでした。そんな辛い状況から患者さんが立ち直り、周囲の医療スタッフの支えもあって笑顔を取り戻していくまでの期間中、その患者さんとは毎日お会いしてお話をさせていただきました。ミーティングが行われた時点で「余命は最短で48-72時間」と宣告され、「せめてコーラが飲みたい」とおっしゃっていた患者さんのために、ディレクターと一緒に缶のコーラを院内で必死に探し回ってゲットし、差し入れして喜んでもらえたのは、忘れられない思い出です。その後、患者さんの全身状態自体は順調に良くなり、いよいよ退院日を迎えました(在宅でのホスピスに移行)。僕にとってもちょうどその日が実習の最終日。お会いするたびに患者さんに笑顔が増していった日々は、自分自身にとっても幸せな時間でした。感謝の意を伝え、別れ際に「日本に帰っても、一緒に過ごした日々をずっと忘れません」とお伝えしようとすると、その前に患者さんが温かい言葉をくださいました。

"Remember me."

間もなく訪れる "船出" への覚悟を決めた患者さんが、これからの医療を担う僕に対する期待と激励の意を込めて贈ってくださった特別な言葉だと思います。

患者さんの思いを背負って自分がこれからの長いキャリアを歩んでいくんだということを初めて明確に自覚した瞬間となりました。


各職種の下での見学

個人的にお願いし、ソーシャルワーカーとチャプレンにそれぞれ付いて見学させてもらう機会を得ました。チャプレンはスピリチュアルケアの専門職。僕が付かせていただいたチャプレンは MICU (Medical ICU) 担当。スピリチュアルケアを必要とされる入院患者さんのところへの日々の訪問と、新患の患者さんとご家族への対応を主に行っていました。入室前からチャプレンは常に笑顔をキープしていて、(仕事柄)患者さんやご家族が寝ている場合は起こさないように心がけていました。チャプレンはクリスチャンでしたが、Religious/Non-religious、Christian/Non-Christian にかかわらず、患者さんのありのままを全て受け入れるようなお話の聞き方、姿勢を貫き、心身の苦しみや、患者さんが必要とされているもの/ことを丁寧に伺っていました。長い時には、1時間近くずっと親身に患者さんのお話を聞き続けたケースもあり、その時にはどれだけ患者さんが心の苦しみを抱え、その感情を表出できずに苦しんでおられたかを痛いほど認識しました。

チャプレンには月一回の週末シフトがあり(この日にも少し見学させてもらいました)、その時は担当患者さんが40人近くいて、多忙をきわめていました。外傷の患者さんや、手術が不安な患者さんのところへ訪問し、小児科病棟やERも回りました。ERでは、Epic(電子カルテ)の講習でご一緒したアラバマから実習に来ている医学生がバリバリにオーラルプレゼンテーションをこなしていて(まだ医学生なのに、土曜なのに)、非常に印象的でした。

病室への訪問時にチャプレンがお祈りをするかどうかは患者さんの意向や状況次第で、お祈りの内容は患者さんの背景に合わせてカスタマイズしているとのことでした。手術前に不安を抱えられた厳格なクリスチャンの患者さんのところへ伺った際には、お見舞いに来られた方を含め、部屋にいる全員が手をつないで輪になり、やや長めのお祈りをしました。チャプレンはそのあと、患者さんの意向に従って神父を紹介しました。

音楽を流してほしいか希望を伺って、必要とされる患者さんの元にスピーカーを設置して音楽療法を提供する役割もチャプレンが担っていました。ソマリア人(ミネソタ州に多い)の患者さんには、Muslim Explore というストリーミングサイトを利用してコーランを流し、患者さんやご家族から心から感謝されていました。その上でチャプレンは、”All of you(お見舞いに来られていたご家族全員) already made her(患者さん) comfortable. So now I want to make you more comfortable too. What can I do for you ?" と、さらにご家族が必要とされているものがないか、伺っていました。


チャプレンは患者さんのベッドサイドに行く前、カルテを確認するだけでなく、看護師さんに必ず状況を聞くことを徹底して心がけていました。「患者さんやご家族の心理状態はどうか?」、「身体的にコミュニケーションをどの程度とれる状態にあるか?」、といったことを聞いていました。米国での2か月間で学んだことの中で、日本に帰って一番実践したいと感じたのがこの姿勢。患者さんを診る前に、看護師さんやその他の担当スタッフからしっかりお話を聞くこと。小児呼吸器科のディレクターも真剣な眼差しでこの重要性を説かれていました。自分自身が日本での臨床実習中にこれを行った機会は皆無でしたが、研修医になったらしっかり実践していきたいと考えています。スタッフ同士の積極的かつ十分な意思疎通なくしては、患者さん・ご家族を含めて全員でベストケアプラン、ベストデシジョンを共有していくのは困難だ、ということを学びました。


ペインコントロール

DNR(Do Not Resuscitate)オーダーに関する事項とともに、ペインコントロールに関する基礎知識は、USMLE スタイルの予習課題でざっと学びました。その解説には、緩和ケア領域の専門知識が Evidence-based スタイルでまとめられた "Fast Facts" というサイトのリンクが度々掲載されており、臨床現場でも UpToDate と同じように参照ツールとして利用されていました(無料 app あり)。複数のオピオイドを同時投与した場合のトータル投与量換算方法や投与間隔調整法などの具体的な対応については、細切れの時間を使ってマンツーマンでレクチャーしていただきました。


急遽予定を変更し、2泊3日でカリフォルニアに行ってきました。

<目的>
① San Diego:2年前に研究実習でお世話になった教授やラボメンバーへのご挨拶、進路相談
② Los Angeles:USMLE Step 2 CS 受験会場・周辺の視察
③ Anaheim:Disney L.A. 60th Anniversary グッズ購入(おみやげ)

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"USMLE STEP 2 CS General Information" という
pdf ファイルを旅行計画中に見つけました。

(追記)
完全版:
USMLE STEP 2CS に絶対合格したいあなたに奉げる処方箋

First Aid Step 2 CS
 と双璧をなす対策書だと思います!
これから受験を目指していく立場として、本当に有難いかぎりです。
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今回の旅では、自分の将来を根本的に見直すきっかけを得ました。
結構な労力と旅費がかかりましたが、一歩を踏み出して本当に良かったです。

数年前の自分だったら迷いなく出動していたはずですが、今回は消極的な面持ちで迷いに迷った末の決断。自らのチャレンジ精神や積極性の減衰を感じ取らざるをえない3日間でした。

米国での経験によって、低学年の頃に抱いていた憧れや好奇心が徐々に薄れてきたことが、きっとその一因なのだと思います。

でもその経験がプラスに作用していることもまた事実で、「何が何でも米国臨床留学したい、しなければいけない!」という現実的な思いはどんどん膨らんできています。
 
 
フェローシップだけを経験して日本に帰るよりも、アメリカで長くトレーニングを積んで少しでも多くを学ぶ方が、将来的には、今の医療で治せない患者さんを少しでも治せるようにするための最新の臨床を追求し、臨床研究に取り組むチャンスをより一層広げられるのではないか。

それなら(最終的に日本の医療に貢献したいという思いを抱きつつも)「日本に戻れなくてもいい」ぐらいの覚悟で、レジデンシーから米国臨床留学すべきなのではないか、という思いが高まってきました。


・果たして自分にはレジデンシーから臨床留学できる可能性が残されているのか?
・もし可能性があるなら、実現のために今の自分が最も優先してやらなければいけないことは何なのか?
・英語コミュニケーションの壁をどう乗り越えていくのか?
・国内のマッチング、国試対策、Step 2 CK 対策の3つに集中して情熱を注いでいくことが、残りの医学部生活の過ごし方として本当に最適なパスなのか?

そういった根本的なところから、今一度じっくり考え直してみたいと思います。

第6週、Hematology 最終週。

DVT/PE のプレゼン
UpToDate や Chest Guidlines のサマリーなどを勉強して準備しましたが、今週はコンサルトで忙しく、結局発表機会はありませんでした。それでも、「Power Point を使わずに DVT/PE について英語で10分間、口頭で発表する」なんて日本では絶対にやらないトレーニングですし、今まで身につけてきたものを総動員して取り組む新しい課題なので、準備そのものにやりがいがありました。疑問点の相談などは、DVT/PE の症例を担当する中である程度できましたし、残り物に関しては、また来週、先生に会えた時に相談したいと思います。


口頭プレゼンとカルテ記載
今週は毎日のように新しいコンサルトがフェローの担当上限(3件)まで入り、夜までせわしなく同行する日々でした。(フェローは Oncology の業務も同様に行うため、1日最大6件)

今週は1日(1〜)2症例を担当させてもらい、以下の流れで実習に取り組みました。
1) 膨大な量のカルテから短時間で情報を収集・把握し、頭の中で整理
  → USMLE で大量の症例文を短時間で読みこなす力が求められることにも納得
2) History taking、Physical exams
  → 基本的にフェローが行うが、自分でやることも
3) 1), 2) の情報を整理して口頭プレゼンテーション
  → メモを見ながらアテンディングに
4) フェロー・アテンディングにプレゼン内容の訂正と補足をしてもらう
  → 勉強どころ!
5) ディスカッション後、必要に応じて検査室で塗抹標本(Smear)の確認&解説
  → USMLE Step 1 の勉強がとことん生きる
6) フェロー・アテンディングと回診後、カルテの下書き
  → Reason for Consult, HPI(現病歴), ROS(Review of System), PMH(既往歴), PSH(手術歴),  Allergy,  Medication,  SH(社会歴),  FH(家族歴),  Vitals & Physical Exam,  Lab Data を入力する。自動入力機能が使えるので、実際に頭を使って内容を練るのは主に HPI
7) フェローが修正・加筆(Assessment, Recommendations)した完成版を後で確認
  → 勉強どころ!

まだひどい内容のプレゼン&カルテ入力しかできないことに嫌気がさしながらも、「前回よりも良いプレゼン&カルテ入力ができるようにしよう!!」と毎回がむしゃらに取り組んでいるうちに、徐々に内容が様になってきて、やりがいや楽しさも感じられるようになった1週間でした。


やっぱり英語コミュニケーション
アメリカの病棟に来ると、英語コミュニケーションに深刻な問題を抱えるスタッフが一人だけいて、それが自分だということを自覚して嫌になる毎日。出来て当たり前のことが出来ないのが本当にもどかしい日々。今の自分の英語力で一目置かれてしまう日本はどうかしている、と思いたくなってしまいます。
今月からは、隣の日本人ハウスメイトと英語で会話する時間を増やしていますが、英語コミュニケーションの壁を克服するには、日本に帰ってからも英語でたくさんコミュニケーションを取るしかないので、そういう生活習慣・環境を作るための策を今のうちから練らなければと思います。日本に帰ってからも英語で気軽にLINEやSkypeで話せるような友人との出会いは本当に貴重です!!


フェローのプレゼンテーション
実習最終日の早朝に、お世話になったフェローのプレゼンテーションを聞きにいきました。各フェローが1年に数回行うことになっている、約1時間のアカデミックプレゼンテーション。テーマは、僕が今の科に来て最初に勉強させてもらった症例に関連するものでした。かなり複合的な症例で、最適な治療法を簡単に決められないケースでしたが、その難題に対してフェローは、臨床研究の結果を20個以上引用し、その患者さんにとって最適な治療計画を論理的に導き出していました。発表の構成、内容、創造性、同期フェロー同士の建設的なディスカッション...どれを取っても「これこそが自分が今後目指していく目標そのものなんだ」と思えて、鳥肌が立ちました。

現在の実習先のフェローシップは Hematology/Oncology/Transplant 分野で米国有数の Competitive なプログラムですし、そこに選ばれた先生方は血液腫瘍分野で世界トップレベルのフェロー。そのフェローからマンツーマン指導を受けながら、知性や温かい人柄にも触れられた時間は、本当に一生の宝物になりました。自分が今後どれだけ頑張っても、今のフェローに追いつけるものは何一つない気がして、絶望的な面持ちにもなりますが、貴重な経験をさせてもらって、こんなにも励ましてもらっている自分は、とことん頑張っていかなければいけない立場なんだということを改めて自覚しました。


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1週間のオフを挟み、クラークシップも残り2週間となりました。
最後は希望通り、緩和ケア科を回ります。
・がん患者さんとたくさんコミュニケーションを取りたい
・アメリカの緩和ケア領域のチーム医療を学びたい
という思いがあってこの科を選択しました。

H&P、口頭プレゼンテーション、カルテ記載をまた沢山トレーニングさせてもらえると思うので、残り2週間も有意義に過ごしていきたいです。

オフの間は Step 2 CK の勉強、Step 2 CS の練習、国内マッチング登録&出願内容確認などにあてる予定ですが、小児科インターンの先生と休暇期間が一部重なり、一緒に Mayo Clinic や数日間の小旅行に出かける計画も立てています。楽しみです。

第4, 5週目は Hematology を回りました。

フェローからのマンツーマン指導

3週間マンツーマンで指導してくださることになったフェロー(後期研修医)は、幸いにも IMG (International Medical Graduate) 。ご出身はエチオピア。2年飛び級で母国の医学部を卒業後、レジデントから米国に来られた、信じられないほどスマートな先生です。どんな質問にもわかりやすく的確に答えてくださいますし、逆に振ってくださる質問は、USMLE の必須事項ばかり。後で Step-Up To Medicine や Master the Boards (MTB) Step 2 CK を開いてみると、教わった内容がバッチリとまとめられていて驚く毎日でした。また、それらの基本事項を網羅的に確認した上で、さらに発展的なことを気が済むまで教えていただけるので、みるみる知識が増えて楽しい2週間でした。

Step 2 CK に向けたアドバイス

フェローは Step 2 CK で高得点を取るための重要教材(上記の2冊、MTB Step 3Secrets)や勉強の注意点についても事細かにアドバイスしてくださいました。言われた通りに教材を購入してそれらを勉強し、疑問点を解消してから UWorld を解くと、正答率 20-40% 台のトリッキーな問題も論理的に判断して自信を持って正解できるようになり、自分でもびっくりしてしまいました。こういう難易度の高い問題で高率に正解できるような、系統立ったベース学習や問われどころにフォーカスした学習を心がけない限り、いくら問題演習を繰り返しても付け焼き刃的な対応しかできず、2 CK ではなかなか高得点が取れない、ということを暗に示してもらったように思います。

Step 2 CK も大事!
「IMG はマッチングの際に Step 2 CKのスコアもちゃんと見られるし、小児科は相対的に競争が激しくないから、2 CK で良い点数を取れれば、単にレジデンシーを狙うどころか、良いレジデンシープログラムさえも全然狙えるよ」とフェローが励ましてくださいました。競争の激しい科(皮膚科、眼科、整形外科など)で Step 1 : 250 → Step 2 CK : 230 だとかなり印象が悪いけれど、そうでない科(小児科、精神科、一般内科など)で Step 1 : 225 → Step 2 CK : 250 なら逆に評価が上がる。だから、いずれにせよ、レジデンシーから米国臨床留学を目指す可能性が0でない限り、Step 2 CK のスコアもやはり大事。

英会話の機会まで...
今の自分にとっては、USMLE 以前に、英語コミュニケーション力の不足が最大のネックになっていますが、フェローはそのことも十分理解して下さっていたので、ランチやコーヒーブレイクの時もずっと一緒に過ごして、会話する時間もなるべく沢山作っていただいてきました。実習後にどうやってお礼をすればいいものか、真剣に思いあぐねてしまいます。

Hematology のコンサルト症例
実習は基本的に、フェローと一緒に5〜10人程度の担当患者さんを一緒に診て回り、新患症例があればそれに同行するスタイルでした(全てコンサルト症例)。フェローはその後、アテンディング(指導医)と1対1でプレゼンテーション&ディスカッションを行っていました。
(プレゼンテーションの冒頭でも必ず言及する) "Reason for consult" の多くは術後(移植後)の DVT/PE、あるいは基礎疾患に伴う DVT/PE のリスク評価や予防管理ですが、その基礎疾患は悪性腫瘍、感染症、自己免疫疾患、多臓器不全など多種多様で、あらゆる分野の勉強ができました。もちろん、稀少な血液疾患も数多く診ることができました。
アテンディングも本当に温かく指導してくださいました。1週目のアテンディングは、自身の出身地であるサウスダコタ州と、エチオピア、日本のそれぞれについて3人でのんびり話し合う時間も取ってくださり、思い出深い楽しい時間を過ごせました。多剤耐性菌のことを「ゴジラコッカス」「エボラバクター」などと表現されていたのがとても面白かったです。

Oncology のコンサルト症例
第1週は担当患者さんが多かったのですが、2週目は新患がほとんどなくあまりにも暇になってしまったので、実習科の Hematology だけでなく、Oncology のコンサルトにも同行させてもらいました。米国では固形癌の患者さんは基本的に、臓器別のドクターではなく Oncologist(腫瘍内科医)が診るシステムのようでした。フェローは Oncology の症例に関しては、Oncology 専門の別のアテンディングにプレゼンをして、直接指導を受けていました。そこでお会いしたアテンディングは、以前日本にいらしたことのある先生だったので、日本の話ですぐに打ち解けられましたし、僕が将来 (Pediatric) Oncology をやりたいことを知って以降は、会うたびにいろいろと気にかけてくださいました。来週のどこかでまたご一緒できればと思います。(最後のローテーションは希望通り緩和ケアに決まったので、そこでもまたお会いするチャンスがありそうです。)
Oncology のコンサルトはやはり難しい症例が多く、Stage IV/末期がんの宣告、緩和ケア/ホスピスの提案などを行うシビアな状況も何度かありました。患者さんの顔色をあまり伺わずに、伝えるべきことを一気にストレートに伝えてしまうのが、米国のスタイルのようでした。"But this is the reality..." という患者さんのつぶやきが今も忘れられないです。

悪性リンパ腫がご専門の教授
フェローは水曜の午後だけ外来担当があり、そこでは様々なタイプの悪性リンパ腫の患者さんを次から次へと診ていきました。わずか3〜4時間で、簡単な教科書に載っているメジャーな悪性リンパ腫をほとんど診られてしまう環境もさることながら、フェローが悪性リンパ腫の著名な教授からマンツーマンで指導を受けられるプログラムにも、改めて感銘を受けました。フェローとのディスカッション後に教授が診察室で行う、1つ1つの病歴聴取や注意深い身体診察は、フェローが取り損なった項目をその場で直接見せて示すかのようでした。その一連の光景や、プレゼンテーション&ディスカッションの様子を見ると、「いいプログラムがあっていいトレーニングができるから臨床留学しに来たんだよ」と目を輝かせながらおっしゃっていたフェローのモチベーションにも完全に納得がいきます。

外来では H&P も
外来実習では、フェローのみならず、アテンディングに直接付いて教わる機会もありました。その初日。最初の患者さんの診察室に入り、アテンディングと一緒に患者さんへのご挨拶を行った直後、まさかの展開が訪れました。アテンディングが突然「じゃまた後で来るからね」と言って、勝手に出て行ってしまいました(笑)予告無しの置き去り実習。一人で H&P をとれるように準備はしてあったので、病歴聴取も、身体診察も、口頭プレゼンも、自分なりにナチュラルにできたと思いますが、アテンディングのあの粋なやり方には1日中感心しっぱなしでした。

院内 GPS

外来の建物は今年の2月に出来たばかりで、いたるところにタッチパネル式のデバイスが設置されていました。一番驚いたのは、患者さんやスタッフが胸につける電子バッジ。埋め込まれたセンサーが GPS のような役割を果たし、患者さんやスタッフがどこの部屋にいるかがリアルタイムでスクリーン上のフロアマップや電子カルテに表示されるという、最新鋭のシステムが導入されていました。

どこで役に立つ/ツケが回ってくるかわからない
外来オフィスでフェローと話していた時のこと。PTLD (Posttransplant Lymphoproliferative Disease) から Alport syndrome に話題が移り、"What is the etiology?" と聞かれて "Mutation of the genes of type IV collagen synthesis." と答えた時、ちょうど居合わせてそのやり取りを聞いていたのが、悪性リンパ腫の教授でした。
Alport syndrome の原因は Step 1 を受けるなら覚えていて当たり前の知識だと思いますが、それでも教授は僕がちゃんと答えていたことに対して、「よく勉強しているね」と言ってくださり、「今度の月曜の夕方に Malignancy conference があるから是非聴きに来てね。とてもいい勉強になると思うから」と、カンファレンスに個人的に誘っていただきました。Alport syndrome の知識がこんなところで生きるなんて、全く想像もつきませんでした。
さらに、将来のキャリアプランを聞かれ、「英語が全然ダメなので...まずはそこを克服して、Pediatric Hematology/Oncology の分野で臨床留学したいです」と伝えたところ、「君の英語はベリーグッドだよ。僕は日本語が全くわからないけど、君は英語をたくさん聞いたり話したりできている。だから、それはすごいことだよ。今はうまく会話ができなくて大変だろうと思うけど、だんだん Comfortable に話せるようになると思うから、普段からいろんなスタッフと少しでも多く会話する機会を作ることを心がけて、これからも頑張って」と励ましの言葉をいただきました。本当に、すべてを尊敬できる先生でした。アメリカで実習できてよかったです。

HIT のお返しは... DVT/PE
2週目の木曜には、アテンディング(インドご出身の IMG)の指示・監督のもとに、フェローが10分程度の個人ティーチングレクチャーをしてくださる機会がありました。テーマは HIT (Heparin-induced thrombocytopenia)。UpToDate からプリントアウトした 4T-Score シートを用いて、評価方法のレクチャーをしてもらいました。それが終わると、アテンディングからトリッキーな課題(3種類の病態と血小板数の推移を記した簡単なメモ)を提示され「どれが HIT ?」と、即座に理解度チェックを受けました。そのアテンディングはぐいぐい課題を与えるタイプの先生で、翌日(金曜)の別れ際にも不意打ちで課題をくださいました。
「じゃあ、この前フェローがやってくれたような形で、DVT/PEについて10分くらいで今度は私たち2人にフリースタイルで話してもらうから、文献やガイドラインを読んで、月曜までに準備してきてね
シンプルですが、やりごたえのある課題です。


<来週に向けて>
・実習の充実
・英会話の機会の充実
・H&P の練習
・Step 2 CK に向けた学習の継続

やることは変わらないですが、次の一週間でまた少しでも多く成長できるように、1日1日しっかり取り組んでいきたいと思います。
 

もやもやした2日間
集大成と思っていた3週目の月曜・火曜は、担当患者さんを割り当てられず、「コンサルトで忙しくて構ってる暇がないから外来に行ってきて」とクリニックに飛ばされ、見学がメインとなりました。自分で学ぶことを見つけるのに苦労し、Step 1の結果通知も迫っている予感がして、もやもやした嫌な2日間に。


Step 1合格通知をもらった1日
翌水曜の朝に結果がわかり、気持ちを取り直してスタート。しかしほっと息をつく間もなく、朝一で指導医から大きな課題が与えられました。「割りあてる患者さんが来たよ。話を聞いて、診察して、patient noteを書いておいて。あと、今回の症例はすごく珍しいから気管支鏡手術の見学をしてきて。じゃね」といったんお別れ。そのあと、午後のカンファレンスを終えてから指導医と再会し、直接口頭プレゼンをしてフィードバックを受け、ディスカッションもして、色々な質疑も受けました。夕方にはカルテのフィードバックももらいました。(翌日も同様の実習を行いました)


気管支鏡手術の方は、時間も、場所も、ENT(耳鼻科)の担当レジデントもわからない状態からのスタート。それらが分かったあとも、更衣室の鍵を借りる場所、更衣室の場所、スクラブの場所、手術室の部屋番号など、わからないことばかり。結局10人以上のスタッフに声をかけて尋ねて、ようやく手術室での見学まで行き着きました。「自分で調べて調べて調べて」ではなく、「人に聞いて聞いて聞いて」やっていかないといけない場所だということ改めて感じました。手術室では担当医からレクチャーを受けることができました。

助けてもらったスタッフの中に一人、特に印象に残った人がいました。それは手術室の受付にいたボランティアの青年。本当に優しく対応してくれて、誰かのために力になりたいという態度に満ち溢れていて、目が輝いていました。よくよく話を伺うと、その青年は来年、メディカルスクールに入りたいと考えているようでした。自分自身も医学部に入る前、がんセンターの外来でボランティアをしていたことがあったので、彼の輝く目に込められたものが本当によく伝わってきました。と同時に、ずっと憧れだったアメリカの医療現場に来ることができて、しかもUSMLE Step1合格という臨床留学への最初の切符を手に入れたところなのに目の輝きを失ってしまっている、対照的な自分を自覚しました。初心を少し思い返すひと時になりました。彼には「とにかくメディカルスクールに入れるよう、日本に帰ってからも応援してるよ。グッドラック!」と声をかけて別れました。

大忙しの実習が終わった後、夕食はいつも通りメキシカンレストランで摂りました。野菜たっぷりで、美味しく、リーズナブルなので、毎日のように利用しています。(木曜には店員さんに「どんだけ好きなの?」と笑われ、日曜には「いつも来てくれるから今日はタダでいいよ」とまけてもらいました)
水曜は、肉をビーフにして、アボカドのペーストを追加して、ドリンクをつけて、いつもより3$の贅沢。Step1に落ちていたらまた受験料がかかるから...とそれまで節約を心がけていましたが、その心配もなくなり、肩の荷が減りました。この店を出たとき、偶然にも玄関ですれ違ったのが、午後に手助けしてくれた、あの青年でした。


Evaluation
ローテ終了後のアンケートに苦労しました。慣れない環境で色々な経験をしたので、良かった点や改善点をまとめるのにすごく頭を使い、英語なので時間もかかりました。労働時間に関するアンケート項目がいくつもあったのが特徴的でした。

オンデマンドの安全講習
8個の課題をゲーム感覚でクリアしていきました。内容は、火災時の対応、危険人物への対応、通訳対応など。ちゃんと動画をみていないと、突然表れるクイズに答えられなくて、もう一度見直さないといけない仕組みになっていました。火元のどこに消火器の先端を向けるのが最適かをドラッグして答えたり、襲われた時に逃げるのに適切な位置を選んだりするクイズもありました。講習さえもオンデマンド化してしまうシステマティックなところは、いかにもアメリカらしいなと思います。


<振り返り>
・システムに慣れれば慣れるほど、英語力とClinical skillsの不足で自分の成長が頭打ちになっていることを痛感するようになった。

・サブスペシャリティの選択科目ということで、指導医(Attending)が週ごとに変わり、アピールのチャンスに乏しかった。

・実習内容は週ごとの指導医の裁量に大きく依存した。放置、たらい回しになってもなんとか自分なりに具体的な目標を立てて、時間を上手に使って学んでいかないといけなかった。

・米国の臨床現場に実際に身を置いて、それまで抱いてきた純粋な憧れが薄れてきた時、自分が臨床留学を目指す真のモチベーションについて再確認させられた。

・指導医との1対1のやり取りで困ることは少ないものの、回診やディスカッション、オフィスでの雑談がなかなか聞き取れなかった。内容を推測するための思考が必要になり、そのうちにいつの間にか話が進んでいて、流れについていけなくなり、余裕を失い、積極的に話そうにも話せなかった。中にはそれを「寡黙で態度が消極的」と受け取る先生もいらっしゃったし、自分自身でもぼーっと突っ立っているやる気のない学生に思えて嫌になることが多々あった。どうすればいいか考えているうちにまた時間だけが過ぎていって、何もアピールできないまま終わった3週目だった。


<次のローテに向けて>
次は3週間、Hematology/Oncology/Transplantation(成人)を回ることになりました。臓器別で一番好きな分野で、Step 1の成績も分野別で最も良かったのがHematology。英語はまだまだですが、医学はデキると自分に言い聞かせて、UWorld Step 2 CK、Step-Up To Medicine、Master the Boards Step2, 3(Fellow Doctorの一押し)などのHematology分野を勉強しながら、充実した実習にしていきたいです。小児血液腫瘍でなかったのは残念ですが、一般内科なので教育体制が整っていることはお墨付きですし、昨年この科を回られた先輩もかなり良かったとおっしゃっていたので、期待大。3週間がとても楽しみです!これからが本番だと思って、日々ベストを尽くして取り組んでいきたいです。



USMLE Step 1 で高得点をとれなかった反省を含め、留意点をまとめました。

① 難化傾向続く(?)。少なくとも UWorld レベルの難度を想定しておいて損はない
本番はブロックごとに難易度に差があり、特に難しいブロックは UWorld 以上の難度でした。症例内容につかみどころがなく、選択肢にも、First Aid に載っていない見たこともない疾患が幾つか含まれていて、その中から "Most likely" なものを選ばないといけない問題には、嫌というほど当たりました。全く手に負えずに当てずっぽうで選ぶしかない問題が5題くらい続いたりする苦しい状況も2度ありました。
<参考サイト> New Changes to Step 1 for 2016
 

② First Aidだけでは現行のStep1の出題範囲はカバーできな
First Aid for the USMLE Step 1 は対策に不可欠で、試験前に必ず暗記しないといけませんし、自分もある程度それを果たしました。しかし、UWorld や Kaplan Qbank を勉強するとすぐにわかりますが、First Aid の知識だけで対応できない問題は際限なく登場してきます。残念ながら、本番も同様でした(First Aid に完全準拠している Rx Qmax だけがむしろ特殊。あくまで First Aid の知識を身につけるための基礎固め用。そういう点から、Rx Qmax は1周で良かったです)。本番の出題範囲は本当に膨大でした。
 
 
③ UWorld の難問・奇問ほど、本番に類題が出る可能性があると思って入念に勉強すべき
本番で実際に出題されたからこそ、そういった問題が復元されて類題として Question bank に登場するのだと思います。特に UWorld の類題は本番でも各ブロックに数題程度出てくるので、UWorld は模試も含めて全問解ける状態で当日を迎えないといけないです。なけなしの類題を自信を持って解答できないと、本番で痛い目に合います。
 

④ オンライン問題集を2つマスターしてもNBME模試で目標スコアが出ないなら、迷いなく3つ目に取り掛かるべき。高得点を取るには Kaplan Qbank がやはり必要だったかもしれない 
「2つのオンライン問題集を繰り返し解いてマスターすれば、さすがに本番の大半の問題に対応できるだろう」という当初の考え方は甘かったです。Rx Qmax, UWorld のみならず、NBME模試、Kaplan Qbank / Qbook などで新しい問題を1題でも多く妥協なく勉強し続けるべきでした。あるいは Firecracker(後述)でより広域に未習知識をカバーし続けるべきでした。これが高得点をとれなかった最大の要因だったと考えています。
First Aid 2016 の教材評価では、Rx Qmax:A、Kaplan Qbank:A- となっていて、Kaplan Qbank の欠点としては "sometimes emphasizes recall of overly specific details rather than integrative problem-solving skills." と書かれています(インターネット上の付録サイトより)。しかしその前にちゃんと "A high-quality question bank that covers most content found on Step 1" と利点も書かれてありました。医療安全系の問題(2016年5月9日から新たに出題範囲に)がうっとおしかったり、Rx Qmax や UWorld で見たことのない難問・奇問が多かったりしたため、僕は Kaplan Qbank を途中で切り上げて、Rx Qmax や UWorld の解き直しに時間を割くことにしたのですが、やはり Kaplan Qbank を最後まで勉強しておくべきだったと思います。Kaplan は最大手の予備校ですし、本番の情報が集まりやすいであろうことを考えると、Kaplan Qbank の方が Rx Qmax よりも再現問題を多く含んでいても全くおかしくないです。First Aid の巻末で Rx Qmax の方が Kaplan Qbank よりも高評価になっているのは、自社が作っているオンライン問題集だからという点も反映されていると思います。教材評価内容を個人的に解釈し直すと以下のようになります。
 
Rx Qmax
◎ 問題が良質
◎ First Aid に即していて初学に最適
△ 本番の問題に十分に即しておらず、UWorld や Kaplan Qbank とも出題ポイントがややずれる

Kaplan Qbank

◎ 本番の出題範囲がよりカバーされている
△ 奇問が目立つ
(という点において雰囲気が本番に近い


⑤『演習問題数に比例して得点力が上がる』『10000題解けば240取れる』を正しく解釈する
解き直し問題を総演習問題数にカウントしていたのがそもそもの誤解でした。新しく解いた問題のみをカウントすべきです。また、勉強した問題のなかでも、本番で類題が出た時に100%絶対に正解できる問題だけをカウントすること。2周解くのは、あくまで(能力的に限界があって)1周でマスター出来ない場合に行う補習と捉えること。
あと、やはり UWorld を勉強する際は、問題を解くために必要な知識とその近辺領域だけでなく、解説でカバーされている内容をより網羅的に勉強しておくべきでしたUWorld 1周目をもっと早く始めて、テストモードで解かずに、1問1問じっくり勉強するのも手だったかなと思います。本番では見たことのない問題が本当にたくさん出るので、問題集の問題で正解するために必要な知識だけでは対応が難しかったです。
<参考サイト>  Five Biggest Mistakes Students Make With USMLE World


⑥ 英語力(速読力、精度)が伴わないと得点力は伸びてこない
2016年5月9日から1ブロックの問題数が40題に減りましたが、問題文がかなり長くなり、マルチステップな思考のハードルも上がっていると思われるので、相当レベルの速読力と読解精度が伴わないと、必ず足を引っ張ることになります。問題数をこなすことでカバーできる部分も大きいので、Timed mode での演習量も重視すべきです。UWorld は必ず2周解きましょう。
 

⑦ 最後は日本語での知識量がものを言う。学業は大事!
オンライン問題集、First Aid for the USMLE Step 1、大概の人が使用するメジャーな補助教材(BRS Behavioral Science, Rapid Review Pathology など)だけでカバーできない問題は、学業や、日本語で勉強してきた知識でカバーするしかないです。日本語で相当量の医学知識を身につけておかないと現行の膨大な出題範囲の Step 1 に対応できず、なかなか高得点には届かないと思います。アメリカの医学生たちが普段から重点的に学習している知識を日本で習っていなくて知らない、といった類のディスアドバンテージをも埋められるだけの、日本語での知識量が必要です。早期から First Aid に頼りすぎる勉強は良くなかったです。
 

⑧ 模試は予想スコアを出すためだけのものではない。間違い直しも大事
予想スコアだけが出る$50バージョンと異なり、$60バージョンの NBME 模試を購入すると、受験後に自分の間違えた問題を確認できます。解説はおろか、解答すら付いてこないので復習がしづらいですが、間違い直しも必要だったと感じています。(公式のものではありませんが、ネット上に解答例のサイトもちらほらある模様;古いですが No.1-13の問題と解答例の入手先はあるようです)。僕は最新の NBME 模試 No.18(153/200、予想スコア:224)しかやりませんでしたが、その時に迷った問題が1題、本番にそのまま出てしまい、十分に復習しないまま受けたことを強く後悔しました。(因みに、UWorld 模試からも何題か類題が出ました。僕の時は、本番の第1ブロック第1問目がまさにその1つでした)。コストがかかりますが、NBME 模試も早め早めに数多く受け、1問でも多く勉強しておいて損はないです。


⑨ 最新の公式サンプル問題をチェックしておいた方がいい
USMLE の問題は定期的に傾向が変わるようですが、変わり目でプール問題ががらりと変更されるのではなく、日進月歩、連続的に変更されている感じがします。新課程に移行する直前に受験する場合でも、最新の公式サンプル問題を解いて傾向や特徴を掴んでおくことは重要です。難化傾向にあることも容易にわかると思います。
<参考サイト>
公式サンプル問題サイト:http://www.usmle.org/practice-materials/ 
公式サンプル問題PDF:http://www.usmle.org/pdfs/step-1/2016samples_step1.pdf
解答・解説サイト:http://www.benwhite.com/medicine/explanations-for-the-2016-official-step-1-practice-questions/


⑩ どれだけ本番ができなくても、NBME 模試の点数は信じていい
「本番が信じられないくらい難しくて、寝不足でコンディションも悪く、第5ブロックくらいから頭も疲れてきて、NBME 模試の時よりもはるかに手応えが悪い。精彩を欠いて、普段できるはずの問題もボロボロ落としてしまっているに違いない。合格している気が全くしない。落ちたかもしれない」...そんな面持ちで試験を終えたとしても、なお、NBME 模試の予想スコアは信じていいと思います。きっと他の人たちも同じようなコンディションで、同じような感触です。自分の得点率がどれだけ低くても、結局のところ、Mean 230, SD 20 になるようにスコア化されるので、過度に心配する必要はありません。NBME 模試の予想スコアが合格ラインぎりぎりだったとか、自分の必要スコアに一度も達していないとか、そういう深刻な状況でない限りは、きっと成るように成ります。『NBME 模試の予想スコアは残酷なほど正確』=『試験後は NBME 模試のスコアを信じて"果報は寝て待て"』です。


※ その他、やっておけばよかった教材
Firecracker :
 ・利用者の方がより高得点を取れていることが統計学的に証明されている
 http://blog.firecracker.me/students/firecracker-step-1-performance-analysis
・もともとGunner Trainingという名称で米国医学生の間で爆発的にはやっていた模様
 http://hotarunokoya.blog92.fc2.com/blog-entry-103.html
 ・250点を取られた先輩が使用されていて、オススメしてくださっていた...

Kaplan Qbook:大体の人がやるようですし、UWorld や Rx Qmax でカバーしない問題が結構あるみたいなので


もう時すでに遅しですが、反省を生かして Step 2 CK で必ずリベンジします!

USMLE Step1 に無事に合格しました。

試験3週間後の水曜、朝8時(日本時間22時)ごろにメールでアナウンスが届き、
スコアは226でした。

合格最低スコア: 192
平均 ± 標準偏差 ≒ 230 ± 20
小児科コース中央値 ≒ 226

ずっと目標にしてきた点数には全く及ばず、平均(≒230)さえクリアできなかったのは悔しいですが、やれるだけのことはやってきましたし、自分の能力的な面も考えると、妥当な点数かなと思います。

不合格も覚悟していたので、合格できて本当に良かったです。
時間を見つけて少しずつ、お世話になった方々にご報告とお礼をしていきたいです。


今後も、フェローシップからの臨床留学を目指しつつ、「自分のやりたい仕事のために、米国専門医の資格が必要なので、やはりレジデンシーから...」と考えるようになった場合にそのチャンスをも温存できるよう、次のステップに向けてしっかり取り組んで(リベンジして)いきたいです。

2週目。
 
やることが沢山
今週はNon-styleで自由な毎日でした。朝食・昼食はいつも指導医と二人で摂っていたので、Doctor's Loungeでベーグル、パン、果物、乳製品、ドリンク類をもらい放題。食費が毎日1食分で済みました(節約したかったのでありがたい!)。

今週の指導医もとても優しい先生でした(トルコの医学部を卒業)。月曜の朝一にいきなりScimitar syndromeScimitarは昔のトルコの剣に由来)のコンサルト症例が来て、おっ!と思いましたが、文献を探して勉強した翌日に、実はScimitar syndromeではなかったことが判明したり、ご家族が診断に動揺されていてH&P(History taking & Physical)のチャンスが来なかったりと、不振に終わりました。

大変な症例が多かった今週は、指導医がディスカッション、電話、Pager(ポケベル)の返信などで大忙し。移動中に質問しても説明時間が十分になく、15時には帰らせてもらう(帰らされる?)毎日でした。それでも、渡米前に解いて提出したStep2CKスタイルの問題のディスカッションや、回診中の問答レクチャーなど、最低限の時間は取ってくださり、そこで教えていただいたことは本質的な内容のものばかりだったので、非常に効率的でした。

また、1週間を通じて是非見習いたいと思ったことが2点ありました。
① 面と向かっての情報共有・ディスカッションの重視/フットワークの軽さ
例えば、CTの検査結果が出たらすぐに放射線科医のところに足を運んでディスカッションし、それが終わるとPICU(小児ICU、ピックユー)にいって担当看護師さんやレジデントに逐一、放射線科医とディスカッションした内容を伝えて、さらにディスッカッションを重ねて、というように、「会って話して聞いて、会って話して聞いて...」というのを徹底されていました。電話でのやり取りも盛んで、電話を切る前の"Take care. Bye-bye." が毎回すごく優しい口調だったのも印象的でした。
② 子どもへのフレンドリーな話かけ
シカゴでの病院見学時にも、ベッドサイドに入るとものすごいハイテンションになって、患者さんやご家族を明るく元気にさせる魔法使いのような会話をされる先生と出会いましたが、今週の指導医もそんなタイプの先生でした。どんどん真似していきたいです。

...ということで、今週はH&Pのチャンスが1度もなく、放任される時間が長かったですが、逆に自由時間がたくさん貰えてありがたかったです。H&Pや口頭プレゼン、カルテ記載を一人である程度できるようにするための準備を進めることができました。
・H&Pのレジュメ作成
・ROSや身体診察の英語表現の収集
・薬の商品名や投与内容の記載方法の確認
・略語の検索
・文献の読み進め

日本人の先生(インターン)に引き続きお世話に
先生は今週から夜勤シフトでしたが、早朝に毎日時間を取ってくださって、質問に答えていただきました。電子カルテの便利機能(一覧リスト、雛形フォーマット)も教えていただきました。雛形フォーマットは例えば、 ".JOROS" を入力すると、自分のROSの雛形が自動的に表示されるようなシステムで、とても便利。Vital signやMedicationも自動的に最新のものが表示されるよう設定できるみたいです。毎日のProgress Noteが詳細に、緻密に、正確に、かつ効率的に作成されるアメリカの電子カルテシステムは魅力的です。

H&Pのまとめシート
見学時にメモしてインプットした質問項目を盛り込んだり、病棟患者さんのカルテの身体診察の項目を参照したりしながら、自分用のH&Pのまとめシート(見開き1ページ)を作成しました。
Wheezingが主訴の患者さんが来られた時に、指導医は環境因子の問診で、ペットだけでなく、Fire place, wood burning stoves, Basement, Bedroom (feather pillows, Blanket), Flea, Mold, Smoker in family, 2nd & 3rd-hand smokeについても詳細に聞いていましたし、学校での様子(学年、学校名、成績、欠席日数、得意科目、スポーツ、趣味)、出生歴、成長発達歴なども事細かに聞いていました。そういった内容もすべて盛り込んで、なるべく詳細な"マイ問診リスト"を作成するよう心がけました。
来週にH&Pのチャンスがあれば、 このリストを活用してベストを尽くしたいです。
 
外来も見学
Cystic fibrosisのフォローアップ外来ではNurse Practitionerの下で見学させていただく機会もありました。患者さんの日頃の生活に関して色々な観点からお話を聞いて、生活・栄養指導を丁寧にされていました。看護師の視点を交えた診療ができる役職の専門性というか、プロフェッショナリズムのようなものを初めて拝見し、驚きました。

モーニングカンファ
週3日の早朝カンファレンスに出席しました。
① Human factorsに関するミニレクチャーとディスカッション(Swiss cheese modelなど用いて)
② ケーススタディ:腎移植後のNorovirusの診断にたどり着くと、その後、免疫抑制剤をどのくらい止めるかに関する文献紹介や、最適な文献検索手法のレクチャーが続きました。マルチステップな内容でした。
③ ケーススタディ:20yo F, Afebrile, Migratory arthritisで川崎病の症例:ディスカッションが盛り上がりました。 

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小児呼吸器科も次が最終週。

<3週目の課題>
① H&P、カルテ記載のトレーニングチャンスが来たらベストを尽くして取り組む
② 口頭プレゼンを見習う(フォーマットを日本人の先生から教えてもらう)
③ 回診・ディスカッション内容を少しでも多く聴解する
④ 引き続き、カルテ記載表現に慣れ、インプットを進める
⑤ 集大成の1週間にして、いい流れで次のローテに入れるようにする

可能性は低いですが、4週目から小児血液腫瘍科を4週間回ることになった場合、レジデントの下で患者さんを1人担当し、朝の口頭プレゼンやProgress Noteの下書きも任されるかもしれないので、そうなった場合にチャレンジできるよう(させてもらえるよう)、やれるだけの準備を進めていきます!

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